かねこ

ミニヴァー夫人のかねこのレビュー・感想・評価

ミニヴァー夫人(1942年製作の映画)
4.5
アカデミー賞であらゆる賞を総なめにした本作。ドイツを徹底的に叩くプロパガンダ映画。当時は映画界もそういった映画を贔屓してたんだろうと思われる。プロパガンダ映画を観るのはカサブランカ以来。カサブランカも本作も二次大戦中に作られたんだから、大したものである。もし作られた当時に日本人が観ていたら、もっと早く戦争は終わっていただろうか。少なくとも当時の日本にはこんな映画は作れないだろう。戦意高揚といいつつ、今見てみると戦争の悲惨さしか伝わらず、当時の人はこれを見て戦意高揚したのかと疑問になる。大切な人が亡くなるかもしれないのにこれを見て本当にドイツを倒せ!となったのだろうか、、、?かといって止めてしまったらドイツの思うつぼなのでやめるにやめられなかったんだと思うが。戦意高揚目的に作られた映画が戦争の惨さを伝える映画になったんだから良い時代になったのかな。
 
主演のグリアガースンはとにかく美しい。美しく色気があるのにそれが悪い方向にいかず、貞淑な妻に見えるのでなかなか珍しい上品な女優さんだと思う。映画の設定も似ているが、「小さいおうち」の松たか子感!!華やかなことが大好きでちょっとお茶目な一面もあり魅力的な夫人だった。この映画の後にヴィン役の俳優と結婚するという、、!!びっくり。
 
息子嫁のテレサライト。いつも気が強く凛とした知性のある女性の役を演じているイメージ。疑惑の影を観てから大ファンだが名演が光っていた。彼女の存在によって戦争の悲惨さが際立つ。これでアカデミー賞取ったんだよね。日本人が好きそうな親しみやすさのある女優さん。

日本映画だと「小さいおうち」に似た雰囲気。戦時中の一般家庭の風景が見える映画なのでなかなか勉強になった。同じ時代の戦地を描いた映画を見ると戦地と内地で対比が見えていいのかも。ちなみに「小さいおうち」の時は「永遠の0」とセットで観た。

最後に好きだった場面を。
①高価な帽子を買ってしまい、夫にどう言おうかソワソワするミニヴァー夫人。
②食卓でヴィンがプロポーズした後に食器でドラムを叩くちっちゃい弟くん。
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