Melko

飛ぶ教室のMelkoのレビュー・感想・評価

飛ぶ教室(2003年製作の映画)
3.7
小学生の時に原作文庫本を読んだ。
男の子しか出てこなかったけど、不器用なりに濃すぎる男同士の友情に、
自分もいつかこんな友達ほしいなあ、できるかなあ
と思ったモノだった。

設定が現代に(それでももう18年前)なったことが、良くも悪くも…な感じ。
個人的にはなんとも惜しい仕上がりだけど、少年たちのほんわか心温まるやり取りと世間知らずで鼻っ面の強い感じが頼もしく、熱い友情にじんわりした。
そして、大人もかつては子どもだったのだということを思い出させてくれる。

おませで猪突猛進なヨナタン
いつも冷静沈着なリーダー格マルティン
お調子者のケンカ番長マッツ
小柄でよくいじめられる秀才ウリ
校長の息子で余計な行動の多いゼバスティアン
という、個性豊かな寄宿舎の第9寮の面々。

寄宿舎メンバーの合唱の仕事、それぞれの葛藤や悩み、友情、生徒vs先生、寄宿組vs通学組、そして「飛ぶ教室」という舞台について等、単純な友情モノに終わらないなんとも盛り沢山な内容なのだけど、テンポが悪いので、それぞれの要素が薄く感じる。
ゼバスティアン奪還のケンカの下りが長かったり、ヨナタンとモナのロマンスは必要?とか、
生徒に理解はあるが厳しい正義先生のピリッと感があまり感じられず生徒に振り回されてるだけに見える、とか。
あとやはり1番納得いかなくて萎えたのが、飛ぶ教室での歌がラップなこと…製作された時代の流行りなのかもしれないけど作品としての格式がガクッと低くなるというか、なんか気が抜けるんだよな…
合唱部に所属してるメンバーなんだから、普通に歌わせればいいのに…

9寮メンバーの中で1番印象に残るのは、やはりマッツとウリのコンビ。
腕っ節は強いけどおバカなマッツと、ナヨっとした体型と言動のせいで通学組からよくいじめられるウリ。
マッツが自信を持って「ウリは俺の親友」と言ったり、ウリがいじめられると真っ先にマッツが殴りにいったり、ジャイアンとのび太×出来杉が仲良くしてるのがとても微笑ましい。
いつもマッツに守ってもらってばかりのウリが遂にキレて「男気見せたる!」って大きな声出して、給食をバーン!って床に叩きつけるところはピリッとなる。
バカにされたり女っぽいって言われるのが嫌なんだよね…だからって命を粗末にする行動はダメ。それは男気や勇気とは言わない。

大人の友情も熱かったけど、もっと9寮メンバーのわちゃわちゃを見たかったなあ。
それぞれが特技を活かして劇作ったりするのとか、もっと見せて欲しかったけどサラッとしてたんだよな。

この作品に関しては、ロマンスは蛇足でした…
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