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飛ぶ教室のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

飛ぶ教室(2003年製作の映画)
4.0
児童文学者エーリッヒ・ケストナーの同名原作を現代の設定でギムナジウムの生徒たちの学園生活を描いています。これは気持ちいい音楽もののジュブナイルでした。

寄宿舎の生徒たちは少年合唱団で有名な本校の合唱団員。裕福なエリート生徒たちで、通学の地元不良生徒たちと攻防があります。主人公は地元通学組になりそうなのに、寄宿舎組がメインで、主役は養父が船長という「長くつしたのピッピ」と同じ設定。個性的で優秀な仲間に恵まれ、音楽と学園生活を通して、成長していきます。

合唱団の指揮者の先生の采配がすべて素敵。その先生にも過去があり、隠れ家で出会った不良中年も魅力的で、大人たちが少年たち特有のもやもやをすごく理解していて、一方的に罰しないのです。校長先生も上品なユーモアにあふれ、登場人物がみな魅力的でした。

冒頭に「昔子供だった大人へ」とあるように、すっかり忘れていた時期を思い起こさせ、子供たちの立場に立って理解していく大人たち。その大人たちも子供時代に同じように悩んで自分の壁にぶつかっていたのですから。

大人がうまく子供たちをリードし、子供たちは大人からたくさん吸収していくお話でした。

大人と子供の共通点は、音楽。
エリート寄宿舎組と地元通学組の共通点も、音楽。
さまざまなジャンルの音楽を通して互いに壁を越えていきます。

昔読んだはずの原作とはだいぶ違う現代アレンジですが、違和感ありませんでした。
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