ハリ

大停電の夜にのハリのネタバレレビュー・内容・結末

大停電の夜に(2005年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

クリスマスイブに東京中が大停電に見舞われる。灯りが全く無くなった街で人々は何を思い行動するのか

凄く温かそうなテーマに惹かれて鑑賞。
人工的な灯りが無く、暗がりだからこそ自分の本心と向き合って話す事が出来る。そういう雰囲気にさせてくれる。燦々と煌めき娯楽に溢れ、便利な世の中では吐露することの無かったそれぞれ内に秘めた想いを打ち明ける…という内容。

が、中身は物凄くドロドロしており、忘れられない過去の恋ならいざ知らず不倫や託卵という本来墓場まで持っていくであろう過ちを「こんな時だから…」という自分勝手な理由で半ば強引に打ち明ける登場人物ばかりでうんざり。無理矢理ハッピーエンドに終わらせた感も満載。

あと一番気になったのが、"クリスマスイブに起こった大停電"という設定が全く活かせていないこと。このストーリーなら別にロマンチックなクリスマスイブである必要が無いし、逆にクリスマスイブという所が凄く不自然で異質にさえ感じてしまう。

群像劇というからには各々の登場人物の生きてきた軌跡や足跡を、このクリスマスイブという特別な日を切り取った1日で表現してこそだと思うがそれも薄い…。大まかに言うと

"過去の過ちを、それも殆どドロドロ恋愛話を普段言えないシチュエーションだから懺悔します"

という登場人物ばかりの印象。厳密にはそんな事は無いのだけどそういう風に映ってしまう。
わりと序盤から人々が入り交じる演出は新鮮で良かった。群像劇物では最後に一気に回収というのが多いので。

人工衛星マニアの少年と乳癌手術を控えたモデルの話は良かったし、人々が交錯する上で出会っては行けない人達がギリギリの所で出会わないようになっている演出も個人的には良かった。
脚本は好みでは無いけど情景に惹かれた部分もあり、クリスマスイブというシチュエーションの魔物さを痛感
個人的評価:良作
ハリ

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