ブタブタ

親子ねずみの不思議な旅のブタブタのレビュー・感想・評価

親子ねずみの不思議な旅(1978年製作の映画)
3.0
ものすごく小さい頃テレビでアニメ映画のCM、ネズミの人形の親子が川を流されていて子ネズミが「僕達どうなるの?」と聞くと親ネズミが「さあパパにも分からないよ」と答える場面が子供心に余りにも可哀想で不安な気持ちになったのを記憶してる。
『チリンの鈴』の同時上映で当時こちらのがメインだったらしいけどコチラも負けず劣らずトラウマアニメである。
コレと『チリンの鈴』を続けて見せられたらしばらくダウナーだと思う。
『チリンの鈴』が阿修羅地獄なら『親子ねずみの不思議な旅』は畜生地獄である。
おもちゃ屋で売れ残ったオモチャ達は廃棄される運命にある。
親子ねずみのネジ巻人形がゴミとして捨てられそこから苦渋に満ちた旅が始まる。
とにかくこのアニメを見てて思うのは世界そのものが優しくない。
何と言うか「他者の冷たさ」に満ちている。
人間社会や日常において見ず知らずの他人や自分の利益にならない者、関係ない人間に対する興味の無さや冷たさ。
そういった自分には関係ない人間に対する無慈悲さに満ちた世界なので見てて少しも楽しい気持ちにならない。
こういった主人公が艱難辛苦の旅を続ける場合、それに抗う「強さ」が必要だと思うけど、先ずこの親子ねずみ人形が「手を繋いだ状態」なので両手が使えない。
そして誰かに背中のネジを巻いてもらわないと動く事すら出来ない。
これって何か身体の不自由な事の暗喩の様な気がして見てて哀れにしか思えない。
そんな親子ねずみをイジめる連中の多さ。
子ネズミがやたら「家に帰りたい」を連発し、親ネズミも子ネズミを守る力はない。
子ネズミが「僕達どうなるの?」と聞いても「さあパパにも分からないよ」と親ネズミは答えるだけで見てるコチラも不安に苛まれる。
登場キャラクター達があくまでも「オモチャ」であり「生物」ではないからって親子ねずみはドブネズミ(此奴が凄まじいクズで執念深い悪党)に石で潰されバラバラにされたり(後でどう見てもアンドロイドになって復活)象の人形は目玉をくり抜かれたり脚を機械にネジで固定されて強制労働させられたり、途中でキチガイ鼠科学者に捕まった親子ねずみがさせられる木を延々と切らされる労働(しかも冬から春って数ヶ月間!)等相手がオモチャだからって正に地獄絵図である。
ラストは一応ハッピーエンドだけどこれ程見てて楽しくないアニメってないと思う。
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