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誇り高き男のkuronoriのレビュー・感想・評価

誇り高き男(1956年製作の映画)
3.9

「逃げ?これは自殺行為よ。バカな誇りに殺されるわ!」
「今回は残る。」
「私はあなたに生きていて欲しいだけ。」
「恥ずかしい人生は嫌だ。記憶は残る。5分で決めたことに一生後悔することもある。」

ロバート・ライアンは、亡くなった親父と誕生日が同じで(だからどうした(笑))昔から気になっていました。
「墓石と決闘」ではジェームズ・ガーナーのワイアット・アープに追い詰められていく敵側のボスのアイク・クラントン。
本作では主役で、しかも有名作。観たい観たいと思いつつなかなかちゃんと観れたことがなく、気になってた一本であります。これも今回BSで放送したものを録画して観ました。

ジェフリー・ハンターは、42歳で若くして亡くなった二枚目俳優。本作と、フォードの「捜索者」「バファロー大隊」と、西部劇史上に名を成す有名作に縁がある人。

さらに、本作の主題曲は有名で、「西部劇主題歌特集」なんかあるとかかる確率が高い一曲。
しみじみとした哀愁を帯びた口笛が旋律を奏でる。例の「なんかどっかで聞いたことあるなこの曲」な一曲。
(日本では、サントラ版ではないスリーサンズが演奏したレコードが売れたらしいけど、個人的にスリーサンズの演奏のはあんまり好きじゃない。)

ストーリー的には「保安官VS街の有力者」。それに、ライアンの保安官キャスに父親を殺されたと信じるハンター演じる若者サッドが絡む。
キャスは序盤に負った頭の傷が元で、突発的に目が見えにくくなるハンデが発生する。サッドはキャスを信用すべきかどうか揺れ動きながらも導かれていく、等々。
まあ、西部劇全盛時代の王道の(よくある)保安官ものであります。
この作品が他のよくあるものよりちょっと観られるのは、ひとえにロバート・ライアンとジェフリー・ハンターが役者としてしっかり仕事してて、主題歌がいいから!…って言い過ぎだろうか???
…でもけっこう好きです。すいません(笑)。

あと、二人いる保安官助手のうちのベテランのジェイクを演じているのが、あのウォルター・ブレナン!
「脱出」でのボギーのヘタれた相棒。
「赤い河」での、自分の入れ歯までポーカーに賭けちゃって、仕方なく食べるときだけ返してもらう情けない料理番のおじさん。
ところが一転「荒野の決闘」では鬱々とした敵役のボスのオールドマン・クラントン。(実は、何度も観てるのにブレナンだとなかなか気づかなかった(笑))…とても同一人物とは思えん…。
本作とほぼ同一ポジションだった「リオ・ブラボー」のスタンピー爺さんは、もっとけたたましい躁的なおどけ者だったんだけど、こっちはちょっと(往年は立派だったんじゃないか?)と思わせるような渋さもちらつかせて、少しだけ別人…。やっぱ、この人って演技力ある凄い人なんだろう、納得。

因みに、
「有力者VS保安官事務所の仲間たち(素人さんお断り)」の名作が前述の「リオ・ブラボー」。監督はハワード・ホークス。
「ベテラン保安官(OB)新米を育成する」パターンの有名作が「胸に輝く星」。こっちはヘンリー・フォンダとアンソニー・パーキンスで、音楽がエルマー・バーンスタイン。監督はアンソニー・マン。
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