TAK44マグナム

今日も僕は殺されるのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

今日も僕は殺される(2007年製作の映画)
3.6
ヒーロー!!俺?(by 超光戦士シャンゼリオン)


マイク・ヴォーゲル主演、サスペンススリラーの皮を被ったホラーなダークヒーロー映画。
原題をちょこっと組み替えるとネタが分かリます。
ちなみに、「ターミネーター2」などを手掛けたSFXマン、スタン・ウィンストンの遺作。


大学アイスホッケーの花形選手であるイアンは、恋人のジェニーを家に送った帰り道、正体不明の「何か」に襲われて命を落とします。
しかし、死んだと思った次の瞬間、何故か会社員としての日常が始まっていました。
その時から、時計が止まるたびにイアンは殺され、また新しい一日が始まるというサイクルを繰り返すようになり、謎の老人から「ジェニーこそが希望だ。彼女を守り通せ」と助言をうけます。
イアンを襲う者たちは何者なのか?
老人の言葉の意味は?
そして、ジェニーはイアンに何をしたというのか?
はたして、イアンは忘れていた記憶を呼び起こし、永遠のループから抜け出すことが出来るのであろうか・・・?!


不条理系のスリラー映画だとばかり想像して鑑賞し始めたのですが、ストーリーが進むにしたがって全く想像とは違ったジャンルだったことが判明、そういった意味ではたいへん驚けたと同時に「なんじゃこりゃ!」と、あまりに馬鹿馬鹿しい真相についつい嬉しくなってしまいましたよ。
これは邦題がいかんでしょう!
きっと、ミスディレクションってやつです。
でも、シャレてもいるんですよね。
「殺される」とは言っても本当のところはそうならないわけで、主人公に備わっている特殊な力が分かった途端にタイトル詐欺になる仕掛け・・・・・ってわけじゃないですよね、やっぱり(苦笑)
たんに、興味をひきやすくてそれっぽいタイトルを付けただけなんだろうなぁ〜。

雰囲気としては「ダークシティ」ぽいです。
謎の存在に追い掛け回されるし。
他には「アジャストメント」や「バタフライエフェクト」等も似た感じがあるかな?
でも、「バタフライエフェクト」みたいなのを期待すると時間を無駄にするからお気をつけてくださいね。
なにせ相手がドラッグジャンキーだったりしますから(汗)
愛しさと切なさと心強さのうち、「切なさ」がスッポリ抜けちゃってますよ。

中盤までは謎ばかりなのですが、そのあと一気にネタが割れて、まるで違う映画に力技で変化してしまいます。
そこからはもう、無限にひろがる陳腐な世界にようこそ!でしたよ。
なんだかね、90年代の少年ジャンプにいくらでもゴロゴロしていた漫画のような設定でして、この映画自体、ジャンプの打ち切り漫画の最終回みたいに終了〜!しちゃいます。
オチの一言は格好良いですけれどね。

漫画といえば、「デビルマン」+「寄生獣」って感じでしょうかね?
あ、全然ジャンプじゃないけども(汗)
「元ネタは「デビルマン」なんです」と言われても「ああ、やっぱり!」と普通にきりかえせるぐらい、終盤にやってることは殆ど同じなので、観れば共感していただけると思います。

何度も殺されるシーンがあるのでホラーテイストも当然あります。
しかしながらグロさはかなり控えめ。
電車に轢かれたり、目に注射されたり、手術ベッドに縛り付けられて回転ノコギリやメスで切り刻まれたり・・・・・
どれもこれも、いくらでも悪趣味なグロリンチョでデコレート出来そうなシーンばかりなのに、なんと全てが寸止め。
なので、本作にスプラッター的な驚きや恐怖を期待するのはお門違いですね。レーティングを低くするためかもしれませんが・・・

一部の設定をちゃんと咀嚼しきれていないものの、そこそこ楽しく観られる映画でした。
主人公が何故に「脅威」なのか?
その辺りのアイデアは面白いし、映像表現も及第点以上のクオリティなのでとりあえず最後まで退屈せずにすみましたが、どこかテレビドラマを観ているような座りの悪さを感じての鑑賞だったのは、やはり刺激の足りなさ、そして狭いスケール感に尽きるかと思いました。
もう少し派手にハジけてくれても良かったのに・・・・・
う〜む、惜しい!


NETFLIXにて