西村大樹

八月の濡れた砂の西村大樹のレビュー・感想・評価

八月の濡れた砂(1971年製作の映画)
3.0
時代の映画というのがある。その時代の持つ空気感を映画にした、その時代の青春映画。もちろん、その空気感の中には今の時代にも普遍的に流れているものはあり、そのような作品は今の時代であっても楽しめる。
さて、本作である。どうもその時代の空気感だけで作ってしまっているような感じしかしない。ラストの方など、観念的になってしまっている。その前のシーンは、それなりに面白い。だが、それもそのシーンのみであり、無軌道な若者が行き場のない時代にそれを求め……というのがどうも伝わってこない。求めようとする姿が、いまひとつ納得できる行動ではないのだ。
それもまたこの時代の若者たちのレアルだというのならば、本作は古典となってしまったと言うしかない。
西村大樹

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