Omizu

八月の濡れた砂のOmizuのレビュー・感想・評価

八月の濡れた砂(1971年製作の映画)
3.3
【1971年キネマ旬報日本映画ベストテン 第10位】
『赤ちょうちん』藤田敏八監督が日活で撮った作品。ロマンポルノに移行する前の、旧体制日活最後の作品である。

汗が滴る暑苦しさを表現した撮影、無軌道な若者たちの暴走を上手く捉えた秀作。コンプライアンス的にどうなのかとは思うので、今だとつくれないタイプの作品だ。

ロマンポルノに移行する直前というだけあって官能シーンがやたらと多い。しかも大体がレイプなので…

藤田監督は割と好き。『妹』はかなりよかった。本作が代表作として有名だが、一貫して日常に溶け込んだ狂気を描いている気がする。『妹』のオチが一番分かりやすいが。

欲望と狂気、それが夏の海で牙をむく。淡々としつつも心情を表す描写がとても上手い。それがこの映画の面白さになっている。

好きではないが、藤田監督の代表作と言われるのも納得な秀作。姉を演じた藤田みどりが絶品。
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