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デリカテッセンのSSDDのレビュー・感想・評価

デリカテッセン(1991年製作の映画)
3.8
■概要
核戦争により紙幣の価値は失われ、食糧は乏しい世界。デリカテッセン(惣菜屋)と謳う肉屋の男が扱う肉は家畜ではない。
マンションを営む男の元には様々な人々が住むが、肉が仕入れられるのを待っていた。そこに一人の男が求人広告を見て現れる…。

■感想(ネタバレなし)
コミカルというよりシニカルな核戦争後のディストピアを様々な音や色彩で魅せてくれる。マンションの住人たちはそれぞれ独特に生活を営むし、登場人物は全て癖があるおとぎ話。

楽器や生活音、加工品を使って奏でられる音はなかなか面白いし終始至る所で使われる。アメリの監督と言えば、想像がつくだろう。

なかなか独特の世界観なので受け入れにくい人もいそうだが、ダークファンタジーにしてはコミカルだし、コメディかと言えばブラックが過ぎる微妙な塩梅ではある。













■感想(ネタバレあり)
・キャラクター
食人肉屋、いたずら好きの双子の子供たち、自殺願望が叶えられない女、俗物的な郵便屋、ド近眼の肉屋の娘、元ピエロ、音のなるおもちゃを製造する二人、菜食主義の地底人など。
複数の登場人物達が出てきて収束に向かう作品が好みなので、本作も不協和音が楽しめた。

・秩序の地底人と食人地上人
ほぼ地上にいる人間はカニバリズムしかいないため、それを嫌う人々が地下で暮らすという設定がぶっ飛んでる。
地底人に襲われたなどという新聞の内容も懐疑的で、食人の罪を地底人になすりつけているのかもしれない。

・総評
声を出して笑えるようなシーンはないのだがブラックなおとぎ話なのでそんなものだろう。
色彩で魅せる映画は好きだし、音楽も良かった。退廃的世界観も複数の登場人物が出てくるのも好みなのだが全部合わさってるのに、世界観が独特過ぎる。
なかなかシュールで面白い作品でした。
これが好きな人はアリス(1988)とかも好きかもしれない。
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