しおん

デリカテッセンのしおんのレビュー・感想・評価

デリカテッセン(1991年製作の映画)
4.5
おもしろ!!!

『サイコ』をオマージュした冒頭に始まり終始サスペンスが繰り返される。ヒッチコックと異なるのはリズムとの絡み。退廃的かつ単調に重なる不安の軋みービクトルエリセのショートフィルムが思い出されるーを、宙吊りのテンポを主人公のルイゾンが「修理」していくことで、アパルトマンの「風向き」が変わっていく。糸、アンテナ、そして配管といったネットワークが作品の鍵を担っており、それらは殺しの一助となるとも同時にアパルトマンを瓦解させる外部への架け橋ともなっている。乾き燃えていく地上と、水のしたたる地下とは思想的にもコントラストを描いているが、両者はどちらも薄暗い。

何よりもユーモアが魅力。どこまでも大人をおちょくり続けるガキ二人が良い味を出している。対照ではなく並列としての「二並び」の画が多かった。入れ違う蛇口、水を貯めるバケツ、チェロとノコギリのデュエット。
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