Mikiyoshi1986

エコールのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

エコール(2004年製作の映画)
3.9
初観賞。
閉ざされた森の奥に佇む、"純粋無垢=イノセンス"な少女たちが集う"学校=エコール"

少女が棺桶で送り込まれ、不条理にもその寄宿女子校での生活を余儀なくされ、年長になると去っていく。
外界から一切隔絶されたこの謎めくシュールな機構は一体何を意味するのか。

劇中、度々蝶への描写が挿入されるように、少女が成熟し"女"として羽ばたく前段階の「さなぎ」の過程をデフォルメした視点が素晴らしかった。
この少女たちの不安定な部分へのフォーカスは、女性ならではの感性でしかなかなか描ききれないのではないでしょうか。
ギャスパーの嫁ルシールの極めて芸術性の高い描写力が、このミステリアスで耽美な世界観を見事構築しています。

大人への渇望だったり、規律への反発だったり、自我への欲求だったり、性への目覚めなど、
きっと少女の誰もが経験するであろう汚れなき思春の黎明。

アリスのバレエ披露シーンの演技は特に素晴らしかったし、後半の主軸になるビアンカはちょっとトリンドル玲奈に似てました。
そしてエヴァ先生のバレエ着のケツがクソ最高でした。

手袋や水柱などのメタファーはなんとも淫靡。
あと、シックでシンプルながらも「イノセンス」を象徴した純白の制服のディテールがとても印象に残ってて、調べてみたら衣装はアニエスベーの提供なんですね。
この気品の高さ、さすが一流のデザイン力だなと膝を打ちました。
Mikiyoshi1986

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