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ガールファイトのkuuのレビュー・感想・評価

ガールファイト(2000年製作の映画)
3.5
『ガールファイト』
原題Girlfight.
製作年2000年。上映時間110分。

ひとりの少女がボクシングと出会いさまざまな経験をしていく米国産ドラマ。

ダイアナはブルックリンに住む女子高生。
母ちゃんが自殺して以来、父ちゃんと弟と3人で暮らしている。
日々やり場のない怒りを抱えていた彼女だったが、ある日弟が通うボクシングジムに立ち寄ったとき、ボクシングこそが自分の求めていた“何か”だと確信する。
そこで初めて自分の価値を見出し、恋人に出会い、かつてない充足感を覚えるダイアナ。
だが、ようやくボクサーとしての実力をつけリーグ戦を勝ち進む彼女に、あろうことか次の対戦相手が恋人エイドリアンに決まったとの知らせが届く。

ミシェル・ロドリゲスのメヂカラがスゴい。
こないな三白眼はめったに見られへん。
初め、この眼が出てくるだけで映画に引き込まれちまう。
ワイスピシリーズや『レディ・ ガイ』とかアクション映画で知られるロドリゲスやけど、デビュー作は本作品の『ガー ルファイト』。
ロドリゲスが演じるダイアナ・グスマンはブルックリンの団地に暮らす高校生で卒業まであと数ヵ月。
ダイアナはしばしばもめごとを起こすしてて、気が短く手が早い。
なんか似合うなぁこないな演技が。
つぎに暴力沙汰を起こしたら退学処分にすると云われとる。
家族は父ちゃん(ポール・カルデロン)と弟(レイ・サンチアゴ)。
母ちゃんは、父の暴力が原因で自殺したらしい。
辛気臭い話にしようと思えばいくらでもできる設定やけど、今作品は不思議に風通しがエエ。
ロドリゲスのキャラが、ボクシングを通じて刻々と変化していくからかもしれへん。
弟は『喧嘩で人に負けんな』って父ちゃんに云われてジムに通ってるんやけど、どう見ても素質があらへん。
ジムに顔を出したダイアナはボクシングに魅せられ(この辺はこないな映画のセオリーやなぁ)、ヘクター(ジェイミー・ティレッリ)ちゅうバナマ出身のトレーナーに弟子入りを志願する。
せや、ヘクターは渋る。
米国のボクシング連盟が女子ボクサーを正式に認定したのは1993年やけど、アマチュア・ボクシングの世界で男対女の試合が認められるようになるのは、もう少し先のことです。
それでもダイアナは、ジム通いをやめない。
父ちゃんのゼニくすねて1回10ドルの練習代を工面して、パンチングボールを叩き、縄跳びを繰り返して、汗と革の匂いが立ち込める空間に馴染んでいく。
今作品は、ジムの描写にコクがあると思います。
監督のカリン・クサマ (1968年生まれ)は、ブルックリン生まれでセントルイス育ち。
父ちゃんは日本人の小児精神科医で、カリン自身もジムに通っていた経験があるそうです。
うらぶれて錆びつき、ヒスパニック系やアフリカ系の顔が眼につく高温多湿の空間。
怒りと屈託を抱えた人々の、ともすれば捨て鉢になりそうな気配もひしひし と伝わってくる。
ロッキー(スタローン)が通っていたフィラデルフィアの高架下のジムや、フランキー(クリント・イーストウッド)が『女にはボクシングを教えな い』(ミリオンダラー・ベイビー)とつぶやいとったロサンジェルスの〈ヒット・ピット・ジム〉とも共通の匂いがするかな。
小生もボクサーで夢を見てた一人やし熱く観れた作品でした。
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