きんろー

2001年宇宙の旅のきんろーのレビュー・感想・評価

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)
4.8
まるで2001年から始まる21世紀流の神の存在を記した新たな創世記。
かつてキリスト教を悩ませた天動説や進化論を否定せず、宇宙にいる未知の存在と聖書の神をリンクさせた壮大なSF的聖書解釈のように感じる。
HAL9000コンピューターと人間の関係はモノリスに導かれた人類の末路を暗示しているのか、それとも旧来の神の存在を否定しているのか。
かなり難解な作品である分常に新たな発見、解釈があって面白い。

自分の稚拙な考察を抜きにしても、驚くべき撮影技術やAIの発狂によるサスペンスフルな展開はエンタメ映画としても抜群に面白い。

説明不足と批判されることが多い作品だが、未知との遭遇や膨大な時間の流れなど理解の及ばないものを前にした違和感を説明しないことによって的確に表しているため、その点に関してはむしろ賞賛されるべきでないかと思う。
どちらにせよ、どうしても理論、理屈で説明過多になってしまう小説や絵画にはできない、映画にのみ許された表現の、その限界に挑戦した推しも推されぬ大傑作であることに間違いはないだろう。
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