安堵霊タラコフスキー

2001年宇宙の旅の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)
5.0
公開から50周年ということでノーランが監修した70ミリフィルム版が作られたけど、日本では(転売屋のせいもあり)劇場で見るのが厳しい状況となってしまい、でもこの年に改めて見ないのはどうかと思ったので今度はBDで見てみることにしたら、案の定その壮大さと美しさに震えて堪らなかった。

人間の先祖と思しき猿の生活から始まり、巨大な長方形に触れて手と物を使うことを学ぶ過程の時点で見事なのだけど、そこから最も長大な時間のジャンプカットで宇宙船に飛ぶ大胆さにも、何度見ても舌を巻く。

そして本題の一つである宇宙船での生活も、宇宙空間や宇宙船で本当に撮影されたように思える撮影や美術の素晴らしさに惚れ惚れし、こういうシーンがただ続くだけで何時間でも見ていられただろう。

そこから人工知能殺しに至る過程も若干のアクションシーンを取り入れながらも他のハリウッド映画では見られない厳粛性が依然保たれていて、その後の終盤における超現実的なシーンの数々なんてこんな無機質であまりに神秘的な場面を他の作品で見たこともないと思えるくらい色々超越的でとんでもない。

今や50年も前の映画となってしまったけれども、この深遠な作品は更に50年経ったとしても決してその輝きを失うことはないだろうと確信できる、唯一無二の優れた映画であると再び思い知らされた。