TAK44マグナム

アリーナのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

アリーナ(1989年製作の映画)
3.7
俺はチャンピオンになる!


50年ぶりに地球人戦士が宇宙の異種格闘技戦タイトルマッチに挑むSFアクション。
異種という文字通り、種が異なる異星人同士がパンクラチオンの如く肉弾戦で戦う「ロッキー」のようなサクセスストーリーです。
「リアルスティール」から「オーバー・ザ・トップ」要素を抜いて、ロボットを異星人に置き換えた、と思うと内容を想像しやすいかもしれません。

チャールズ・バンドが設立し、低級な劇場用エンターテイメント映画を多作したエンパイア・ピクチャーズ終焉期の作品。
低級と書いたけれど志は高く、チャールズ・バンドって人は娯楽映画が大好きなんでしょうね。
実際、エンパイアの作品は面白いものも多く、エンパイア倒産後もビデオスルー用のホラーやSFを製作するフルムーン・ピクチャーズで復活、現在まで「パペットマスター」シリーズなどを延々と作り続けています。
エンパイアの失敗は、低予算の企画なのに中身に拘って予算が高騰、次作どころか何十作も企画だけブチ上げて資金を集める詐欺紛い商法をせざる負えなくなったことにあるわけで、世間一般的な常識からすると許されないのでしょうが映画屋とするとあまり責められない面もあるんですよね。
まぁ、やりすぎたってわけですが(汗)

そんなこんなで本作、宇宙の彼方で行われている格闘ショーを題材にしており、「スターウォーズ」のように多彩な宇宙人がたくさん登場する、まるでちょっと古めなテレビゲームの様な、見ていて楽しい作品に仕上がっております。
現在の目でみるとショボさも感じますけれど、心を広くもてば「スターウォーズ」と遜色のないビジュアルに・・・見えなくもない(と、信じてください)。

お話は一本道で単純、どこかから借りてきたようなネタをパッチワークし、娯楽SF色で化粧をほどこしたような本作を監督したのはピーター・マヌージアン。
ボンクラ珍作の代表格「エリミネーターズ」(これもエンパイア・ピクチャーズ製)の人。
でもまぁ、普通に最後まで破綻せず観られますよ。
また、主人公チームの女性オーナーを演じているのは「ヒドゥン」でマシンガンをブッ放していたクローディア・クリスチャン。
なかなかの(80年代)知的でセクシャルな美人さんですね。
主人公と闘うエイリアンのデザインでスクリーミング・マッド・ジョージも参加しております。

こういった80年代のB級作品を見慣れていれば意外と楽しめると思いますが、欲を言えばもう少し戦士の種類を多く登場させて欲しかったです。
分かりやすくバトルをトーナメント形式にすればヴァリエーション豊かな異星人戦士を出せたかもしれませんが、それだと予算超過になってしまうのでしょうね。
こういった作品も現代の技術でリメイクしてくれたら嬉しいのに。
ただ、もし作られるとなったら、異星人は着ぐるみのまんまでお願いします。


レンタルビデオ、某動画サイトにて