このレビューはネタバレを含みます
最近カメラを始めたので、写真家を扱った映画を探していたところこの作品を見つけた。
個人的にこの作品の中で描かれている一ノ瀬泰造は劇的な何かを成した人物ではないように思えた。
世界的な賞をとったりしたわけじゃない。代表作の「安全へのダイブ」を撮ったシーンも、虚しさを感じるシーンとして描かれている。
「あなたはその戦争を求めて、日本からやってきたんでしょう」
そんなセリフが劇中である。
その通りだ。
「こんなときによく写真が撮れるね」
目の前でついさっきまで遊んでいた少年が死んだときに、少年の養母に言われたセリフだ。
綺麗事を抜きにして、戦争でのスクープを求めて、泰造は死に急ぎ、そして死んだ。
これは英雄の映画ではなくて、狂気と情熱のままに生きた青年の話だった。
ただそういう情熱のままに死ねる人生を、僕は少しだけ羨ましく思ってしまった。