東京計画2022

地雷を踏んだらサヨウナラの東京計画2022のネタバレレビュー・内容・結末

地雷を踏んだらサヨウナラ(1999年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

Ask, and it will be given.
Knock, and the door will be opened.(Matthew 7:7)

映画冒頭のマタイ伝の一節。
この言葉通り、泰造は危険を犯しながら何度もアンコールワットへ向かった。そして、最後にそれを見たときに、一筋の涙を流す。


“なぜアンコールワットかわからない…
でも大切な人が死んでいくたびに、アンコールへの思いが強くなっていく。日本を出てからずっと探していた何かが…、あそこへ行けば解決するような気がしていたんだ”

戦場カメラマンとしての矜持とか、カンボジア内戦を撮るのだという使命とか。
そういう「理屈っぽいもの」を全て捨て去り、あるのは自分とアンコールワットだけ。1対1の神秘的な空間。たとえそれがどんなに危険な行為であったとしても、求めずにはおれない、叩かずにはおれない「何か」があった。


1973年に一ノ瀬泰造がカンボジアで行方を絶ってから今年で40年。

僕らは理屈っぽい何かを手に入れたかもしれないけど、別の大切な何かを失っていやしないか。

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冒頭のマタイ伝には続きがある。
「狭い門からはいれ。滅びにいたる門は大きく、その道は広い。そして、そこからはいって行く者が多い。命にいたる門は狭く、その道は細い。そして、それを見いだす者が少ない。(マタイによる福音書 7:13)