竜平

地雷を踏んだらサヨウナラの竜平のレビュー・感想・評価

地雷を踏んだらサヨウナラ(1999年製作の映画)
3.8
1972年、内戦下のカンボジアを駆け巡る実在の戦場カメラマン「一ノ瀬泰造」、その軌跡を辿る。戦争及びヒューマンドラマ。

今やハリウッド映画にもちょくちょく出演する浅野忠信の若かりし頃の主演作。この頃から英語やら披露していたとは。現地の仲間や子供たちから「タイゾー」と親しまれる主人公。まだ20代半ばで、戦場カメラマンの夢を追う男であり行動力にも満ちていて、ただ若さ故かちょい無鉄砲、という感じ。カメラマンの視点から見る戦地の様子、実態というのがありつつ、初めはカメラの技術もまだそこまでで、そこから徐々にカメラマンや写真の戦地での在り方というものを思い知っていく。傍から見るとこの状況や感覚に毒されていってるようにも見えるんだけども、やがて出てくるのが現実との葛藤、そして解放軍が占領する聖域「アンコールワット」への執着というもの。どっちかと言えば一人の男を追うヒューマンドラマ寄り、なんだけど、安心して日々暮らすこともままならないような場所でその現地の人たちの生活や想いが見えるあたり、戦争モノとしてもグッとくる。出会う人とのエピソードは時に微笑ましく、時に切ない。で、その時々でのタイゾーの友達思いな姿がなんとも素敵だったり。

ラストはわりと予想できるんだけど、それでもやっぱりどうなるのか、どのようにしてそのラストに行き着くのか見届けたくなるはず。実話モノ特有の、どっしり感のある余韻が良き。戦争の悲惨さと、そこを駆け抜けた若者の生き様、衝動などを体感できる一本。
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