Risa

KAFKA/迷宮の悪夢のRisaのレビュー・感想・評価

KAFKA/迷宮の悪夢(1991年製作の映画)
3.5
SFコーナーでSFっぽく無いものを見つけると物珍しさに手にとってみたくなります。

91年の作品なのに、白黒映画、なのにSFコーナー。
主人公はフランツ・カフカ。
舞台はプラハ。
カフカの生きた時代、内容はユダヤ系政治サスペンス?ミステリー?
こりゃ、SFであってます。
時代錯誤な雰囲気と言うか、けっこう古い作品に感じてしまうんですが、90年代の作品。画質の感じと、プラハの石畳、建物の雰囲気がまさに当時に見えるんです。

城の中で、隠れてしていたことは、個性無き人間を作る研究。
頭蓋骨を開けられて実験されているのは、社会に批判的な人達。
思い出すのは『未来世紀ブラジル』。

城の中だけカラーなんです。
プラハの白黒映像は 美しい影を作ります。
偽りで作られた世の中を白黒で撮っている訳ですね。

読んでませんが、城はカフカの未完の作品『城』を指しているのでしょう。
そして、『変身』。
脳を顕微鏡で見てるんです。
人を顕微鏡で。
まるで、人を昆虫かのように。
読んでいれば もっと深く楽しめたのでしょうけれども、読んでいなくても 充分に分かる 社会に対する批判的なメッセージ、映像も 見所あり。

終わり方も なんとも不条理。
ただ、少し地味に収まってしまっている感じが残念です。
もう少し 壮大に突き落としても良いものの。
その控えめな感じがカフカなんでしょうか。
荒削りな感じと、控えめさに ちょっと 不安感があります。
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