すずき

ブレインストームのすずきのレビュー・感想・評価

ブレインストーム(1983年製作の映画)
3.2
エヴァンス社のリリアン博士の研究チームが開発した発明品、それは人の脳に直接作用し、映像音声だけでなく人の五感や感情をも伝えられるマシン「ブレインストーム」だった。
そんな画期的な発明を軍事利用する為、政府からの協力の話も持ち上がったが、リリアン博士はそれを拒否する。
そんなある日、リリアン博士が持病の発作で急死し、エヴァンス社は研究所を軍に引き渡す。
博士の昔馴染みで、副主任のマイケルはチームから外されるが、リリアン博士が息を引き取る間際にマシンに記録した、「死の体験」に異常な執着を見せる…

「2001年宇宙の旅」「ブレードランナー」等、数々のSF作品に特撮として参加した、ダグラス・トランブルの監督作。
撮影中にナタリー・ウッドが事故死?してしてしまった上、興行的にも不振で彼の最後の監督作となってしまった。

設定は凄く良いんだけど、脚本が不恰好で、興行的に苦戦したのも納得してしまう。
前半は「ブレインストーム」の試作機の成功から始まり、その小型化や上層部へのプレゼンを丹念に描く。それが少しタルい。
ストーリー展開よりも、丁寧なSF描写でご飯3杯はイケるぜ!という方にはお勧め。

そしてマシンの使用法として、まずは娯楽用から始まり、応用で想いを伝える手段として、そして洗脳・拷問用として、そしてエロ用途とその危険性も、これまた丹念に描写。
そのアイデアのひとつひとつは面白いんだけど、サブシナリオがメインにあまり絡まず、全体として纏まりがないと言うか。

結局メインストーリーである、軍による研究所の占拠から「死の記録」を体験する、という目的に向けて動き出すのは後半から。
後半は後半で、ブレインストームがマクガフィン的で存在が希薄。
しかし死の間際、人は何を見るのか、その「体験」は非常に興味深い。
果たしてオチに何を見せてくれるのか、惹きつけられはした。

そのオチだけど、予想を遥かに超える、とは言わないが、中々カッチョいいSF映像は悪くなかった。
もうちょっとこう…哲学的な何かがあっても良かったかもしれんが。
あと取ってつけたようなハッピーエンドは逆に不穏。それを狙ったのか?