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ザッツ・エンタテインメントPART3のオリのレビュー・感想・評価

3.9
 前2作から20年ほどたって、MGMの50周年を機にあらためて作られたMGMのミュージカル映画を紹介する最終作。90年代にもなって、さすがに老年のジーン・ケリーが語ることで、より映画“史”的な意味合いをもつにいたった。
 そのひとつとして作品の裏側をみせることがなされた。たとえば、映画本編に使われなかったシーンーー編集の関係でカットされてしまったものや、キャストの降板によってそもそもの演者が変わってしまってボツになったものなどーーが登場し、あるいは、代わる代わる移っていく舞台で唄うシークエンスを、演者に注目するのではなくスタジオそのものの遠景から見せるなど。
 とはいっても1作目、2作目と比べると、圧倒的に推進力が弱く、楽しませること、「これぞエンターテイメント!」というモチーフに欠ける感じがする。ただ作品の最後でジーン・ケリーは、〈聴きはじめた歌には必ず終わりがあるもんだけど、メロディ自体はこの世に残り続けるんだ〉と言う。楽しませる音楽は聴き手の心に意味を刻みつける。
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