姐

ジーグフェルド・フォリーズの姐のレビュー・感想・評価

4.1
まさに「古き佳き」レヴューの組み合わせで構成された、黎明期のハリウッドミュージカルの集大成ともとれる作品!
プロデューサー兼共同監督を務めたヴィンセント・ミネリは、のちに手掛けるミュージカル映画でもこのレヴュー形式の片鱗が見えるのが面白い。

当時のMGMミュージカルを担ったスターが勢揃いで、フィルマークスには記載がないけど、レヴューの最後を締め括ったキャスリン・グレイソンも合わせてキャストが超豪華。
個人的に好きだったのはファニー・ブライスとレッド・スケルトン。レッドはある程度作品が残っているみたいだけど、ファニーは元々舞台畑で早逝だったこともあり、日本で観られる作品はほとんどなさそうなのが残念。

見逃せないのは、やっぱりアステアとケリーのユニットダンス!『The Babbitt and the Bromide』は安定のガーシュウィン作曲。
こういう息ぴったりのユニットダンスナンバーは、ダンサー個人のスキルが如実に現れてしまうからか意外と珍しくて、完璧にリンクさせて踊りきる2人の技術の高さには、改めて惚れ惚れするし、何度でも見たくなる。

稀有な才能の持ち主だったのはもちろんのこと、ジーン・ケリーは生まれた年代もものすごくラッキーだったのだと思う。ハリウッドミュージカル黎明期の役者と共演できて、かつ50年代前半までの全盛期を牽引できたのは10年代生まれの俳優までで(女優はあるいは30年代前半生まで入るけど)、20年代以降に生まれたミュージカル俳優は、映画で売れたくとも環境的要因がどうしても邪魔をするようになっていくから。

ジーグフェルド・フォリーズは間違いなく傑作で、この作品が46年に公開されるということは、ミュージカル映画がここまでで一旦大成し尽くしたからだ考えると、嬉しくもあり、反面25年生まれのドナルド・オコナー大好きマンとしては、ミュージカル映画界の早すぎる大成に寂しくもなってしまうな〜。
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