いろどり

芙蓉鎮のいろどりのレビュー・感想・評価

芙蓉鎮(1987年製作の映画)
3.9
文化大革命の時代に生きる女性の映画はチャン・イーモウ監督の「活きる」が名作。時代に翻弄されながら悲しみ、苦しみ、ぼろぼろになりながら生き抜く様子は今作も同様で、本当に恐ろしい時代だったんだと改めて恐怖に感じた。

昨日の味方は今日の敵。
仲良くしていたと思ったらあっという間に敵として吊し上げ、市民一帯となって攻撃する様子が本当に恐ろしい。右派だ富裕層だ、反乱分子だと攻撃対象を作り上げ団結力を高めるのは、弱いものをいじめて喜ぶ人間の心理を利用した恐ろしいやり方に思う。攻撃していた人が党員に拾い上げられ地位を得ると、今度はこびへつらうというのはあさましくもあるけど、それでも生きていかなければならない時代だったのだろう。文化大革命を生きた人々は、人間の醜さをいやというほど見たのだろうということがよくわかる作品だった。

主演の女優リウ・シャオチンはジャケットよりももっと可愛い。町で評判の気立ての良い美女が、後編では無表情で時代に耐えている。華やかさを持ちつつ厚みのある演技が作品に合っていて沁みた。「紅いコーリャン」出演、「鬼が来た!」監督のチァン・ウェンが恋人役。
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