ダイナ

用心棒のダイナのレビュー・感想・評価

用心棒(1961年製作の映画)
4.6
三船敏郎のかっこよさが詰まった黒澤明監督の時代劇邦画。刀が振られりゃ棺桶屋が儲かる殺伐とした世界、モノクロだとより一層シビア感が増しますね。

「清兵衛一家」「丑寅一家」二つの派閥の争いで衰退気味の宿場町に1人の浪人(三船敏郎)が現れます。立ち寄った居酒屋の店主が町の状況を話し「こんな町ろくでもねえから飯食って逃げな」と諭すわけですが、浪人は「この町は気に入った。この町には叩っ斬った方がいい奴しかいねえ。みんなくたばったらスッキリするぜ。」と飄々と口にするわけです。は〜かっこよ!まだなんも始まってないのにここだけで強者オーラ半端なくてたまらない!野生的な見た目に反し計算高い一面を持つ三十郎、ぶっきらぼうな口調なのに人助けをしちゃって。「ツンデレの原型」なるものを感じます。

お椀飯をぐァつぐァつかっこむ姿や鍋の謎食べ物をハフハフする様子、素朴で色の無い画なのにとても美味しそ〜に見える動きが良い!そして多勢を圧倒する一瞬の立ち回りも技術的に出血を過剰に表現できないにも関わらず圧倒されてしまってかっこいい!寄せては返す波の如くな両派閥を文字通り高みの見物する時の悪そうなニヤケ顔も最高。雨音がうるさい中でのヒリヒリした会話劇も好きなのですが、やはり一番好きなのはクライマックスの「対峙」砂煙が舞っている中で双方がヒタヒタと足を運び迫るこの緊張感。「命を賭ける前の静寂」が滅茶苦茶痺れます!

何が言いたいかというと三船敏郎がただただかっこよかったって事です。そしてストーリーも単純明快ではありますが、相手をどう出し抜くかの謀略(スニーキング要素等)の見せ場が多々あり、会話劇や登場人物の非道な面や抜けたコミカルな面幅広く面白かったです!

ただ流暢なセリフに当時の単語が混ざると「今なんて言った?」という場面が多く感じました。時代劇ものに慣れてない自分の落ち度ですが、歴史通の方で無かったら一周目に関しては字幕ありをおススメしたいですね。
ダイナ

ダイナ