醤油差し君

用心棒の醤油差し君のネタバレレビュー・内容・結末

用心棒(1961年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

自身としては鑑賞した黒澤明監督作品3作目となる「用心棒」。本当ならスコアを3.95にしたいのだが、少数第一までなので4.0ということに。

まず初めに、やっぱり音声が聞き取りづらい。年代的に仕方のない事なのは重々承知しているのでスコアにさほど影響させてはいないが、字幕を出せなかったため会話を完全に理解し切れなかったのが惜しい。


作品的には結構楽しめたし、よく出来た話だと思う。何よりも登場人物たちの動作や仕草によって人間味が大変豊かに、かつ魅力的に映っていて良かった。白黒作品がそうさせるのか、黒澤明監督の手腕なのか、それとも役者陣が素晴らしかったのかは分からないが、少なくともこれら全てが作用し合って魅力的になったのだろう。
具体的に挙げると、清兵衛たちが三十郎を始末しようという話を三十郎が盗み聞きしているときに舌をベーっと出すところや、清兵衛側に元々付いていた先生と呼ばれていた人が1回目の抗争の直前で逃げ出し、それを見ていた三十郎に笑いながら手を振ってくるところなど、役の説明として大変秀逸で面白かった。

また、個人的にとても好きなシーンが1回目の抗争のシーン。清兵衛側と丑寅側のどちらかが進めばビビって下がり、またどちらかが進めばビビって下がりをカットを切り替えながらコミカルに描いており、またそれを文字通りの高みの見物をしている三十郎が最高。笑いながら見ている三十郎につられて思わず笑みが溢れた。
それとラストの三十郎が権爺を救いに行くシーン。時間をかけてゆっくりと迫ってくる三十郎がカッコいいの一言に尽きる。強風も黒澤明監督らしい演出で、より三十郎を引き立てていて堪らない。また前のシーンで飛んでいる葉っぱに包丁を刺しているのを、あんな風に効かせてくるとは驚いた。


とある男が訪れるところから始まり、去って終わる。簡潔で無駄がなく、それでいてエンタメに富んでいる。見やすく面白い作品だった。
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