千年女優

用心棒の千年女優のレビュー・感想・評価

用心棒(1961年製作の映画)
4.0
賭場を牛耳る馬目の清兵衛一家と反発して独立した丑寅一家との抗争が町の名士を巻き込んで泥沼化し、これにより産業の絹取引きが中断して市井の人々が苦しむ馬目宿。そんな折に町を訪れて状況を見かねた浪人の桑畑三十郎が、凄腕を披露することで勢力間の均衡を崩し、同士討ちを目論んであれこれと画策する様を描いた時代劇映画です。

『羅生門』や『七人の侍』で国際的な名声を獲得した後も時代劇三部作を成功させるなどして名実共に巨匠となった黒澤明が、東宝との折半で設立した黒澤プロダクションの二本目として制作した作品で、前作での興行的失敗を取り返す使命に娯楽作に振り切った作風で応えると、公開した1961年度の東宝映画で最高の配給収入を記録しました。

同じ用心棒ものの過去作『七人の侍』をより明朗快活にした物語で、抗争を誘発する設定がユーモアやドラマとの相性が良く、後にセルジオ・レオーネ『荒野の用心棒』や時代劇漫画の代表『るろうに剣心』らへと転用されることとなります。強く賢く活きであと腐れない。市民が「ヒーロー」に求めるものを余すことなく備えている一作です。
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