Monisan

用心棒のMonisanのレビュー・感想・評価

用心棒(1961年製作の映画)
4.4
観た。

面白い!娯楽作品としてとても面白いのに、映画芸術としてのクオリティも高く上質で、流石としか言えない。

三船敏郎は歩いてる姿も格好良いし、表情の作り方、声と喋り方、全てが主役感。華があるスターだな。

勇ましい音楽と手書きのオープニングクレジットでまずテンション上がる。
2つの陣営が対立し、抗争している宿場町に辿り着く浪人。そこへ犬が人の手首を咥えて通り過ぎる。不穏過ぎるし、いきなり掴まれた。
居酒屋の権爺から状況を聞いて思案する、浪人。権爺は東野英治郎。この役者さんも実に素晴らしい。この作品の中では裏回し的な存在で、彼がいなかったらお話は成立しない。桶屋に怒鳴り込む姿も好き。

セットも素晴らしくて、権爺の居酒屋は通りを見渡せる良い立地。権爺が戸板を開け閉めして町の様子を見る所作もキレがあって良い。
メインの通りも良くて、そこに清兵衛陣営と丑寅陣営がぞろぞろ出てきて対峙する絵が劇的で印象に深く残る。
丑寅側の2mの巨漢が効いてるんだよな。あれでヒキ絵のバランスが良くなってくる。

浪人は、両陣営をぶつけて両方潰す事を考え色々と動く。
清兵衛側で名を聞かれ、ふと見えた景色から桑畑三十郎と名乗る。いやもうすぐ四十郎かな、というのも可愛い。

三十郎の思惑通りに、両陣営を混乱させつつあった所に、丑寅のキレものの末弟、卯之助が戻ってきて膠着する。卯之助は仲代達也。鉄砲を大事そうに持っている。

ヌケ作の美人女房を逃す、正義感の三十郎。権爺はそれを知り愛想よくなり、ヌケ作の御礼の手紙を渡す。ただそのせいで遂に卯之助に企みがバレてしまう。
一瞬、隠そうと徳利を置くついでに手紙を回収しようとするシーンはドキドキする。

捉えられて、2mのかんぬきから拷問を受け、美人女房の居場所を聞かれる三十郎。その姿にジャックバウアーが浮かんだ。
あぁでも似てるのかもな、無茶苦茶するけど自分の中の正義を全うする姿勢というか。

最終決戦前、権爺からもらった包丁を手に、刺身にしてやる!と。こういういちいちの台詞も愛らしい。結局桶屋から刀ももらい、権爺を助けに行く三十郎。
丑寅一味との対峙もやはり格好良い絵。じりじりと距離を詰め、鉄砲打たれる前に包丁を投げる、練習してたもんね。
卯之助の最後の頼み、銃を持たせてくれと。ここも緊迫感ある。えぇ、渡すの…的な。

絹問屋が発狂して団扇太鼓を叩き回るシーンも不気味で良い。そして宿場町は平和に…なるのかな…。
権爺の縄を斬り、あばよ、で映画は終わる。痺れるなぁ。

黒澤明、脚本・監督
Monisan

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