おかちゃん

用心棒のおかちゃんのレビュー・感想・評価

用心棒(1961年製作の映画)
4.0
我々世代には、黒澤映画に「影武者」や「乱」とか大作主義でトラブル抱え「硬直化した大監督」というイメージが強かった。その為、若い頃に先入観に固まって名画座で見た印象と、今回改めて見た印象では随分違うものになった。この「 用心棒」もその1つで、 やはり作品の強さを思い知った。

どの作品にも共通だが…

①各々の画が、計算づくの画角で隙間なく創られる。厚みある映像だが、観すぎると我々手ブレ画の映画を見馴れてる者からすると、少し重たくも感じる。

②物語のテーマ・主題の設定が、分かりやすく定められて理解し易い。それは③以下の手助けもあると思うが、やはり庶民的で余り難解ではない。その分、どうしても平易で単純化され、主題の掘り下げは浅い(三島曰く「中学生並み」と切って捨てた👀❗)。

③登場人物キャラもよく練られ、各々の個性を出していて、観ている者を物語の筋に上手く引っ張り込む。

④使っている俳優陣が、この個性的キャラを遺憾なく表現し、更に魅力を出す。特に志村喬と三船の存在は、硬軟使い分けられ、そのキャスティングに充分応える演技を発揮している。

この作品については、三船の髭も薄くハンサムでかっこよく映ってた。物語も今までの路線を踏襲した主題だ。所謂チャンバラ劇もスケール大きく映し出し、観ている者を楽しませる。この辺りが、映画ジャンル的に「活劇」に位置付けされるのだろうし、後年大作化にエスカレートしていく要因ではないだろうか?
とはいえ、当時('50年代中盤・戦後復興途中)の映画界では大きな存在だったろうし、観客側もこれ以上難解な作品では娯楽作品として気楽に観れない。難しい作品にすれば、観客動員数も伸びないだろうし、次作品も撮れない。現に、この辺以降は、先ほど大作云々含め徐々に低迷していく(黒澤だけではないけど…)。

いづれにせよ、一番映画が良い時代だったのかもしれない(まだ影武者と乱など見返してないのでそれから判断ですよね?🤭)。