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ゾディアックのyksijokiのレビュー・感想・評価

ゾディアック(2006年製作の映画)
3.4
前半の小気味よさとテンポ感と、デヴィッドフィンチャーの独特のあの陰鬱な、気味悪い感じがすごくよくて序盤はめちゃめちゃ引き込まれるしワクワクする。演出もひたすらにダークで何か起きそう、何か起きてる、こいつが悪そう、この選択が引き金になりそう。的な演出が本当に細かくよくできている。そのテンションをキープして終盤に向かいたかったところでの中盤以降のあまりにスローな展開はちょっとダレちゃった感じがしてしまった。

アイアンマンとハルクとギレンホール氏というこの3人の豪華な俳優陣の共演もめちゃくちゃいいなと思って見てたんだけれども、ちよっと絡みが薄いというかあるようでない関係性という感じが強くてここの相関性がもうちょっとあると楽しめたかなという感じはしたけどそこは実話に忠実に行くには仕方ない部分なのかな。

あとは時間の経過として20年とかを一気に描こうとしているから仕方がない部分はありつつも急速に時が進んだり、30分しか進んでなかったりそこの急さがちょっと気になってしまった。時の流れの割には何も話が進んでいないというところとか、時が経っている割には何も起きていないとかそういうのもちょっと興ざめしてしまうポイントだったかなぁ。人それぞれだけど。

ジェイクギレンホールが何かに取り憑かれた時の表情っていうのがやっぱり天才的だと思ったし、本当に犯罪者顔をしていると思ってしまった。ナイトクローラーでのあの強烈な演技もさることながらやっぱり顔に迫力があるというか本当に一線を超えそうで怖いというのが良い。そのジェイクギレンホールが終盤にある家に突撃するシーンがあってそこは急にホラーっぽいカメラワークと気味悪い感じとが出てきてめちゃくちゃ良かった。あの映像をあのテンションで撮れるのがデヴィッドフィンチャーだなと改めて実感。

実話に基づく中でここまでエンタメ性を持たせつつ、150分間ひたすらにダークに描き続けるというのがやっぱり流石というか面白さがちゃんと入った状態でパッケージングしてくれるところが素晴らしいなと思った。もうちょいコンパクトだったらより楽しめたと思うけどそこはご愛嬌かな。
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