アキヒロ

ゾディアックのアキヒロのレビュー・感想・評価

ゾディアック(2006年製作の映画)
3.4
実際の事件をベースに面白い映画に仕上がってる。
惜しむべくは、捜査が行き詰まる中盤がやや退屈なのと、3時間は長く感じた。
あのダレる中盤をもう少し削れたんじゃないかと思う。

良かったのは序盤で、暗闇の中から現れる殺人鬼にゾッとさせられる。
ちょっと見るつもりが一気に没入させられた。
とくにダーリーン殺人の際に、一度走り去ったのに、カーブの先から車のライトが戻ってくるシーンがぞくぞく。

犯行予告の手紙がさまざまな声で読み上げられる演出は、人物像をまったく割り出せていないこと、もしくは模倣犯の可能性などを考慮した演出なのかと思わされる。

途中、映写技師のボブ・ヴォーンがポスターの筆跡がほぼ一致し、地下室を有していたので、一瞬犯人かな?と思わされた。
結局事件が迷宮入りしているので、そういう可能性も提示した演出だったんだろう。

一方、警察の捜査がおざなりでイライラさせられる。
マスコミとの連携もできておらず、犯行予告やら電話やら手袋やら、信じられないほど多数証拠が残されているにも関わらず、犯人を特定できなかった。
これは日本の警察ではありえないだろう。
ジェフリー・ディーヴァーシリーズでも、犯行現場の警官の立ち入りによる証拠汚染が挙げられていたけど、当時の米警察の無能さにはさんざん呆れる。
捜査のミスの一つにやっぱり「筆跡鑑定」を重要視しすぎていると思う。
現在では筆跡なんていくらでも変えられるので、他に指紋やアリバイ、販売ルートなど、さまざまな方面から物的証拠を追求していると思う。
そういう無能っぷりを丹念に描いたという意味では評価するが、娯楽作品として見るなら、ない方がいいなと思う自分もいる。
アキヒロ

アキヒロ