チネマエッセ

特別な一日のチネマエッセのレビュー・感想・評価

特別な一日(1977年製作の映画)
5.0
ソフィア・ローレンもマストロヤンニも静かな演技の中で、人間の深いところにある心情の変化を上手に表現しています。彼らの演技力が光った作品です。切なく悲しい、当時には珍しくLGBTについても触れた映画でもあります。

この描写で面白いのが、ソフィア・ローレン演じる母は、ものすごくムッソリーニを崇拝していて、ムッソリーニの切り抜きをアルバムに貼って集めているぐらい。パレードに行けなかったことを嘆いている。

こんなに政治に関心がなさそうな、今を一生懸命生きるような主婦が、ここまで熱を上げてしまうムッソリーニ。どんな存在だったのかと思いますよね。

ちなみに余談ですが、この大家族の娘の一人はムッソリーニの実の孫が演じています。アレッサンドラ・ムッソリーニ、イタリアでは右派の政治家として有名です。歴史修正主義というか、とにかく今でもかなり公けにムッソリーニを正当化しています。自分の子供たちにも複雑な法的手続きをしてムッソリーニの姓を名乗らせているほどです。
実はソフィア・ローレンの姪にあたり、彼女の采配で一度は女優業を歩みましたが、医者となりその後政治家に転身します。
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