しゅん

糧なき土地のしゅんのレビュー・感想・評価

糧なき土地(1932年製作の映画)
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併映だったアンダルシアの犬よりはるかに面白い。『忘れられた人々』や『昇天峠』が何故あんなに面白いのかの秘密を見たと思う。
スペイン国内の、未開に見える大地と村。吊るされた鶏の頭を切り落とす祭り、蜂にたかられて死ぬロバの目、川の水を無理やり飲まされる赤ん坊、知恵遅れの男たちの笑顔。そこにあるのは笑いの力。ベルクソン的な喜劇の笑いではなく、バタイユ的な供犠の哄笑。ナレーションと最後の字幕に悲惨さの告発のメッセージが含まれるが、おそらくブニュエルにその意図はない。映画を、現代の儀式として作り上映すること。過剰なエネルギーの流出の場として映画を設定すること。ブルジョワ批判も貧困の告発も、ブニュエルの場合は儀式性とセットにあるのではないか。
他の感想にも書いた気がするが、やはりブニュエルとバタイユは非常に近い位置にいたと思う。1920〜30年代の状況は少しずつ探っていきたい。
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