伊達巻

糧なき土地の伊達巻のレビュー・感想・評価

糧なき土地(1932年製作の映画)
4.2
スペインで最も貧しい村と呼ばれていたラス・ウルデスの住民を映し出すブニュエル唯一のドキュメンタリー、だけど単なるドキュメンタリーとは言い難いような。どこまでが作為でどこまでが現実なのか定かではないが、真実を描かんとしたブニュエルの作家性の記録含めた特異なドキュメンタリーであると言えるような。でもどんなドキュメンタリーだってなんらかの作為(性)は働いているはずで、いろいろと考えさせられる。落下するヤギのショットが切り替わった瞬間にこれは二匹死んだのかそれとも殺したんかと戸惑ったけどどうやら後者みたい。ヤギにせよロバにせよ少女たちにせよあらゆるショットの繋ぎが完璧で、だからこそと言って良いのか、現実の重みと演出の巧みさが奇跡的に融合しているようにも感じられる。虫にたかられながら普通の顔して生活する子どもたちの画が苦しい
伊達巻

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