shinichiro

糧なき土地のshinichiroのレビュー・感想・評価

糧なき土地(1932年製作の映画)
4.0
◎ 死の天使が舞い降りているスペイン秘境の山奥の村ハーダノス

あまりにこちらの生活とかけ離れすぎて超現実的になっているドキュメンタリー。
村人の生活と紹介ナレーションと音楽

村人は年中疫病に苛まれている。
インフラ整備は全くなく。医療技術もない。生活の糧はいもや豆、苺の木。それを隣の村と衣服を交換。夏の短い時期だけ沢が現れる。
川の水も枯れ果てかけ、蚊が蔓延(画面にも映っている)し熱病が流行。なすすべもなく、末期に震えがとまらなくなり、静かに最後を迎える。
冬は川が氾濫し耕した土地まで侵食される。
ほとんどの家は葉っぱの上で寝て暮らす。
ブタやロバやヤギ、ハチ、毒蛇。
近親相姦や知的障害者のこどもたち。
村人が亡くなると老婆が鐘を鳴らす。
'死の天使が来るのでマリア様にお祈りを'
冒頭でどの家の表にも聖母マリアへの言葉が掲げられていた意味がわかる。

雑音気味に悲壮感漂うブラームスの交響曲4番が明るい最終楽章まで辿り着くことなくずっとかかっていた。希望が見えない映像と溶け合っていた。
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