yoichiro

人間模様のyoichiroのレビュー・感想・評価

人間模様(1949年製作の映画)
3.0
12月2日 DVDで鑑賞
市川崑が新東宝で撮った初期作品。
上原兼が神様レベルかもしれない底抜けの善人役で、大陸帰りで薄幸の影をまとう女性役の山口淑子の境遇に同情して尽くすが、その周囲では恋愛に余りにも鈍感な主人公に苛立ちを募らせる幼馴染のお嬢様やヒロインに想いを寄せる実業家の旧友がそれぞれの思惑を募らせるという、ユニークなラブストーリー。「世間から偏見を持たれる大陸帰りの女性」とか「羽振りのよい闇屋」とか、敗戦直後の世相も垣間見えて興味深い。
上原兼のフォレスト・ガンプみたいな浮世離れした善人ぶりが全くブレがなく、最初はイラだって呆れていた周囲が最後には「負けた」となる結末もちょっとファンタジック。しかし、主人公への想いをこじらせて、闇屋と関係したり、この当時の日本女性としては相当はっちゃけた行動に出たお嬢様(月丘夢路の妹、月丘千秋。なかなか可愛い)が、警察の捜査から逃れようとして墜死した闇屋を見て、「私のバカー!」と叫ぶラストシーンには意表を突かれる。
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