なりかけゾンビ

俺たちに明日はないのなりかけゾンビのレビュー・感想・評価

俺たちに明日はない(1967年製作の映画)
3.8
清々しい程に純粋で生々しい男女が辛い現実から逃れるように戦い続けるクライムアクション


内容
大恐慌のアメリカに実在した強盗カップル、ボニー・パーカーとクライド・バロウ。彼らは幸せを追い求め危険な銀行強盗を続けていく…。


20時に寝てしまい、夜中の1時に起きてしまった。
そんな夜中にふと見たくなるアメリカン・ニューシネマ。

ちょっと難しい話。
アンチヒーロー、アンチハッピーエンディング、反体制派を描いた『アメリカン・ニューシネマ』。その先駆けとなった作品として有名だが中身はちょっと違った。
今作は貧しい白人農家とその元で働く黒人から家を取り上げたような悪い銀行。
それを襲撃する義賊的な立ち位置の銀行強盗団という構図。
しかし、襲撃した銀行も恐慌で潰れていたり、飲食店を襲撃し店員を半殺しにしてしまうシーンなどもあり、反体制派側の掲げるような正義を描いたわけではなく、ボニーとクライドのありのままを切り取った作品だったという印象が強かった!


あと気になったのは「ボニー&クライドって2人じゃないんだ!」ってことwww
ガソリンスタンドで働く不良少年と、兄夫婦が仲間に加わり、呼び名が〝バロウギャング〟になってるww
ボニーどこいったwwww

不良少年はあどけなさが微笑ましくて、この辛い結末を辿る登場人物達の中では唯一の光
でも、兄の嫁がクソウザイww
すぐに泣き叫ぶし、父が神父である事を常に気にしており、全くもって犯罪に手を染められる度量じゃない。

ボニーの「二人っきりになりたいの」というセリフは観客の気持ちを代弁してると思うw


そしてアクションシーンがめちゃくちゃ派手❗️💥
クライドは両手に拳銃、兄はトミーガンドラムマガジンでめちゃくちゃ派手に撃ちまくる❗️
挙げ句の果てにグレネード投げるわ、警察も装甲車だすわで、戦争状態www
撃ちすぎ❗️

ボニー&クライドの実際の結末でも、150発が2人に撃ち込まれ、ボニー26発、クライド17発を被弾したみたいなんだけど
映画ではそれ以上撃ち込まれてるんじゃないかと思うぐらい蜂の巣に………😱



数々の犯罪が巻き起こり、それを中西部らしいコミカルな音楽で彩る異色な雰囲気ですが、
ボニーとクライドの描き方はかなりリアルです

クライドは出会った時から彼女の幸せを常に考えているのですが、
ボニーが愛していたのはクライドではなく〝危険〟
ボニーへの愛も間違いなくあるのですが、それ以上に刺激を求めており、ギャング仲間との談話やクライドが「足を洗ったら平穏に暮らしたい」と話すと、素っ気ない態度をとってしまいます。


理想的な硬い愛で結ばれた二人…では無いのかぁーと思わせて………
最後のシーン。
罠に嵌められ殺されると悟った二人が大量の銃弾を浴びる直前
1秒程しかないのですが
二人ともお互いの元に駆け寄ろうとしていたシーンが
とてもとても心に刺さりました。

二人の愛は二人にしか分からないんだね
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