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俺たちに明日はないのGTのネタバレレビュー・内容・結末

俺たちに明日はない(1967年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

 1930年台の大恐慌時代が舞台。ボニーとクライドという名のイケメン&美女コンビが銀行強盗や殺人に手を染める映画。どうやら実在の人物らしい。
 二人の出会いから本作のテーマである犯罪までに、僅か十分足らずという超スピード展開。ボニーはウェイトレスをしている普通の女性でありその生活に退屈しているらしいが、犯罪に手を染めることへの葛藤らしきものが一切無く、その刹那性は理解に苦しむところがある。物語の途中でボニーの兄とその嫁、ガソスタ店員の少年が仲間になるが、彼らも犯罪に対する後ろめたさのようなものは希薄。そしてその犯罪を世間はむしろ支持する向きがあるという、現代の価値観からはかなりズレた世界観が展開される。(ひょっとしたら大恐慌時代は本当にこんな感じの世紀末だったのかもしれない)。本作は所謂「アメリカンニューシネマ」であり、「自由の追求とその敗北」がテーマであると思うのだが、常々思うのは「『自由』とは人に迷惑をかけることではない」ということだ。犯罪を平然と重ねる二人に、普通に不快感を抱いてしまったのは否めない。
 ラストは如何にもアメリカンニューシネマという感じで、罠にかかって二人はあっさりと射殺される。余韻もへったくれもない「The End」の虚無感は好き。
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