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たとえ明日が来なくてものBaadのレビュー・感想・評価

たとえ明日が来なくても(2003年製作の映画)
4.3
この映画はNYを舞台にしたプリーティー・ジンター演ずるNRI(在外インド人)の女性の初恋の物語です。でも、それ以上にこれはインドでは立場の弱い未亡人でもある母たちへの想いを描いた映画であり、2003年という制作年度と制作地、物語のなかでの時間の曖昧さを考えあわせると200人近くのインド系の死者を出したあの事件への鎮魂の映画であったのかもしれないと思えます。

一見軽薄な今風のミュージカルシーンと共に綴られるこの物語に込められた想いの重さを感じ取るとき、ほとんど絶句せざるを得ません。

デビュー作から常に未亡人の味方でありつづけたシャー・ルク・カーンのこの映画のなかでの選択のあり方はだから最初から決まっていたことなのかもしれません。

NY、シク教徒の姑とキリスト教徒の嫁、とおおよそインドのマジョリティーとはかけ離れた家庭で繰り広げられる家族を巡る重い物語はこの時期、この設定だったからこそ語りうる中身だったのかも知れません。

芸達者な主人公三人を演ずる旬のスターと三人の未亡人を演ずる女優たちの見事な演技、花を添えるグジャラート人とパンジャーブ人の結婚を巡るパーティーシーンの華やかさが見事です。

見ていて一番楽しかったのが、サイフ・アリー・カーン演じるロヒートとその家族のコメディーシーンでしたが、女医を演じる特別出演のソーナーリー・ベンドレーが、主演作にも増して美しかったのも眼福でした。
(YouTubeレンタル・英語字幕)
(すべての未亡人に愛を 2014/3/25記)
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