カステラちゃん

栄光のランナー 1936ベルリンのカステラちゃんのレビュー・感想・評価

4.1
カール・ルイスが登場する迄、アメリカで圧倒的な記録を残した陸上選手ジェシー。ナチス政権下のベルリンオリンピックにおいて、被差別対象である黒人の彼が走る意義を問う。参加ボイコットするか否かを、ジェレミー・アイアンズが熱く語っていたのに、のち懐柔策により信じられない行動をとる。この落差を演じるのが上手い。完全悪役ゲッペルスの目が腹立つ。記録映画監督のレニは、作品の為には毅然とした態度で挑むが、スポーツも芸術も、政治に翻弄されるのが、悔しくも痛ましい。祭典の陰で、深夜密かに出発する幌付きトラック。ジェシーと友情を育んだドイツ選手のその後が想像出来て、辛い。
ユダヤ人排斥反対立場のアメリカが、英雄ジェシーを温かく迎えたかどうかは、本編で確かめて欲しい。