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栄光のランナー 1936ベルリンのemediaのレビュー・感想・評価

3.8
正に五輪のタイミングにいい作品

貧しい生活の中で大学に進み
ただ一心に記録を伸ばすジェシー
既に恋人との間に娘がいて
両親を含めての大家族がいる
裕福な暮らしを求めて
ジェシーはOHIOの陸上選手から
USAの代表選手に

コーチのラリーとの些細な違和感も
ジェシーにとっては
何の躊躇いにもならない

「黒人」という強い言葉が飛び交うが
バスに設けられた「有色人種専用席」
ここでいう有色は
「白人ではない」という意味
わたしたち日本人もである

差別的な言葉も振る舞いも
全て雑音であって耳には聞こえない
コーチが選手を集中させるシーンに
何ともグッとくる

この二人の掛け合いが面白い!
競技前に負傷したジェシー
「2日で治る」と言い
ラリーは「3日で治せ」と言う
なのに競技場で心配するラリーに
ジェシーは「たった10秒」と言い
ラリーは「10秒では遅い」と反す

ベルリン五輪への参加が
ナチスを認めることになる
各々の国の人種・宗教的差別が
天秤に掛けられ
「参加することに意義がある」
オリンピック精神とはかけ離れている

参加してメダルを勝ち取っても
「何もかわらない」という父の言葉

アメリカの黒人とドイツのユダヤ人
オリンピックを開催する国には
大きな力と金が動き
世界へ名を知らしめる
ましてヒトラー総裁の元で・・

五輪という組織とドイツとアメリカ
真っ向から挑むジェシーとラリー
感動させられた

ドーピングで出る出ないとは
異次元の話・・とも言えない


いい作品なのに
東京都内で2館のみという・・
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