このレビューはネタバレを含みます
日本の街中でこんなにファンタジーで残酷なものを撮れるのは岩井俊二監督しかいないと思う。ファーストカットからロマンチックな画で始まるが、ストーリーは捨てられた若者たちが何かを求め彷徨う話。
塀の上しか歩いては行けない、というのはここにいたら怒られないという場所から離れない、という意味だと考え、抑圧されながらも必死にそれを守りその中で光を求める。しかし、そこから一歩でも外れると罰の対象となり、死をも伴う必要が生まれる。
ようやくできた愛する人にも、不器用さから自分の死を持ってしてその人を守るということしか思いつかない。寧ろそれしか考えられないのかも知れない。