Habby中野

PicNicのHabby中野のネタバレレビュー・内容・結末

PicNic(1996年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

たとえば塀の上しか歩いちゃいけないとして、それをピクニックとか言って自由を演じたり、落っこちて死んじゃったりして、それを仰ぎ見る視点はだれのものか?ココの投げたお人形、ただ一人塀から降りたカメラはすくいに行くようにも、這いつくばるようにも思える。
都会の裏側、上っ側、端の端を闊歩する楽しさと自由さと(線路脇の撮影はゲリラだったらしい)それをファンタジー……って言葉は逃避だけれど、聖書そのもののごとく"お話"にパッケージして安心してるぼくらに映画史上最も美しいピストルをブッ放す。この映画をおもしろがる感覚のダブルスタンダード、塀の上と下の両方にいる自分がいる。烏の黒を身にまとい、次の瞬間走り出したのが自分だったとしたらそれは青空の下走る美しく黒い天使か、追いかけて諦める犬か。自分は他者を救うに値するか。救われるに値するか。
人が細い細い塀の上を少しずつ少しずつ自由に近づいてたどり着く、せん妄的でもあるけどとてつもなく現実的でもある。きょうもダブルスタンダードを地で行くとするか。
Habby中野

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