森村バイヲ

PicNicの森村バイヲのレビュー・感想・評価

PicNic(1996年製作の映画)
5.0
外にでることが許されず、塀の上までを内側として歩くことが出来る。それは内側と外側の境界を歩くことだが、あくまでもそれは内側に配置されている。
主人公たちは塀の外から見ればアウトサイダーだが、塀の内からみてもアウトサイダーであり、だから内側への抵抗として境界線上を旅するが、どこまで歩いてもそこは塀の内でしかない。
この作品は「内/外」という堅固な構造により、外側を眺めながらも内側の規則に支配され、エピステーメーの中でしか思考ができず、それを解放するのが神や終末なのであるが、その救済を求めるのもまた、パノプティコンへの服従を示すというフーコー的な権力を表し、社会→病棟→神を辿り信仰空間を作り出している。
だからこそ画面は厳かで、宗教画のような美しさを讃えているのだ。
森村バイヲ

森村バイヲ