Millet

PicNicのMilletのネタバレレビュー・内容・結末

PicNic(1996年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

人生で一番好きな映画は?と訊かれたらコレだ。

冒頭のバラを並べている上を車が走ってくるシーンだけでもう心が掴まれて画面から目が離せなかった。

1人だけ真っ黒の服のココ、とにかくかわいい。
こえてはいけない柵の向こうにひょいと渡るココ、たったそれだけなのに美しい。

讃美歌を歌う子供達が柵の上を歩くココ達を不思議そうに見つめるところや、芸をやってるピエロたちの横を通り過ぎていくシーンはまるで日本ではないようで美しかった。

この頃から岩井俊二監督が日本以外で映画をやりたいって思ってたんだろうなというのを感じられる。

聖書に書いてある世界の終わりを見にいく為のピクニック。
道中でサトルが柵から落ちて脱落してしまったり、雨の中地球最後のキスをしたり。エモエモのエモだ。

沈む夕日の中で空っぽのバスケットからホットドッグのようなものを取り出してマスタードやケチャップをかけるフリまでして、食べるフリをする。
世界終わらないね、やっぱり私が死ぬしかないんじゃん。と、道中で拾ったピストルの銃口を頭に突きつけて引き金を引き、あまりにもあっさりと死んでしまうココ。
ココを抱きしめて世界の終わりに銃口を向けてなんども発砲。弾切れをおこし取り残されたツムジ。

なんたる美しさ
ココが死ぬシーンで黒い羽根が舞うのもドラマチックで最高だった。

世界なんて終わらない、自分が死ねば自分の世界が終わる。というシンプルな話ではあるのだが、それをこんなに綺麗に、残酷な絵本のような世界観だった。
Millet

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