りょうすけ

路(みち)のりょうすけのレビュー・感想・評価

路(みち)(1982年製作の映画)
3.0
「路」

第35回カンヌ国際映画祭にてパルム・ドールを受賞した作品。日本ではVHS化のみされており、DVD等の媒体では観ることが出来ない超激レア作品である。

トルコ映画ってあんまり観た記憶がないと思い調べたら、同じくパルム・ドールを受賞した「雪の轍」と日本と共同制作の「海難1890」くらいだった。

本作は仮釈放になった5人の囚人達の1週間を描いたオニバス形式の作品である。他の方のレビューにもある通り、全員が同じ髭を生やしているので、誰が誰だか途中からわからなくなる。

ニコラス・ケイジ似だったり、ザック・エフロン似だったり、声が大塚明夫ボイスだったりと印象付けて観ていても分からなくなってしまう。現地の人には認識可能なのだろう。なのでちゃんと物語を追えているかはかなり微妙。

「仮釈放」と聞くとジャン・バルジャンのイメージが先行してきてしまうが、刑務所の外に出て新たな人生を始めようとするバルジャンとは異なり、実家に帰省するイメージ。この映画は実家帰省もの映画なのかもしれない。

イスラム教が多いトルコで、家父長制と軍事統制の中で、苦しみながらも生きていく人々の人生を描いた作品であるが、先日鑑賞したイラン映画「チャドルと生きる」とはまた別の雰囲気を感じた。トルコ映画はそこそこ過劇なエロティックなシーンも挿入できると言うことは驚きだった。

本作の制作途中に監督自身が投獄されており、刑務所の中から指導して制作されたと言うのはあまりにも有名な話だが、イランのパナヒ監督と同様に本作の監督ユルマズ・ギュネイも反体制派の監督なのだろう。国への想いと、改革の志に感動した。
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