おばけシューター

回路のおばけシューターのレビュー・感想・評価

回路(2000年製作の映画)
3.5
前半は雰囲気が好みで普通に楽しんだ!
そして後半は…
ネタバレ含んでしまうため下の方で語ります!

懐かしい加藤晴彦が出てますね。
どうぶつ奇想天外を思い出します。
テーッテレレッテッテッレー♪ ウキー!ウキー!ウキー!🐒🐒🐒

00年代のホラーは、仄暗いやつ,着信のやつ,感染のやつと、柔軟にさまざまな媒体を経由していろんなモノが這い寄って来るようになりました。
そして本作「回路」は、インターネットだったワケですね。最近の幽霊は5Gなんかで爆速で襲ってきますが、この時代は阿部寛のホームページも真っ青のナローバンドです。UIは懐かしのwin98。ピ~ヒョロロ~~🥳
ワタシはQ2世代じゃあないですが、ネット黎明期の思い出はガッツリあります。当時はまだ顔の見えない相手は不気味で怖かった。その空気感と、本作の怖さはよく合ってると思った!

暗闇とノイズの不明瞭さ、首吊りの構図、コンテンポラリーダンスの動きで近づいて来る影、いや〜なシミなど怖い要素たくさんなんですが、節操なく詰め込まれてるような印象はちょっとあり。それよりもこの頃のトレンドだったのか演技のわざとらしさがノイズでした。その中で小雪はさすがの安定感。

と、いうような前半部分。普通に楽しめました。

で!
みなさん書かれてるとおり、問題は後半です!
以下、ネタバレ含みます。

段々と難解な要素が増えていくんですが,ついにはジャンルがホラーではなくSFに。この流れ,【リング,らせん,ループ】と同じ匂いがする。
理解できてないところばかりですが、わかる範囲で話をまとめてみます!

結論から言うとこの映画は、
人類と幽霊の「存在」を賭けた戦争の話です🥳つまり、TENETみたいなカンジですね。これほんきで。

ただしすでに存在している人類にできることは、存在を奪われることに抵抗する努力のみです。そして敗者に待っているのは終わりのない孤独、「永遠の無」です。

順を追って整理してみます。

まず、この世界にはあの世が存在します。死後も霊魂のみで存在しつづけ、現世からあの世への一方通行で安定していました。
しかし、増え続ける人類の霊魂は、いよいよあの世を逼迫し始めます(この世界に輪廻転生的なことは起きないのでしょう)
ついに霊魂たちは、あの世でも現世でもない「無」に溢れ出始めてしまいます。表現がめちゃくちゃですが、霊魂の消滅と捉えていいと思います。

ここで偶然、現世と繋がる「回路」が作られました。ここを通り現世に来れば,晴れて現世で幽霊チャンとなり消滅を免れます。
ここでの回路の条件が偶然作られた【開かずの間】。ドアに赤いテープを貼るだけで、あの世からの入り口になります。
しかしまだ問題があります。あの世から霊魂が送られ続けたら、現世もいつか人と霊で溢れかえってしまう。そこで狡猾な幽霊たちはこう考えました。
「現世の人間の魂を無くしてしまえばいい。」、と。

幽霊たちの回路はもう一つありました。
インターネットです。
【幽霊に会いたいですか】といった呼びかけに応じた人間に開かずの間を作らせ、さらには追い詰めて魂を粉々にし、壁のシミにしてしまいます。飛び降りた女性は遺体すら残りませんでした。永遠の無になるとはこれほどまでに、ただ死ぬのとは完全に違う異常な事象なんですね。

こうしてひとりまたひとりと人は消滅し、現世は誰もいなくなった世界へと変わってしまいました。まぁ消えた人間の数だけ幽霊がいるはずですが。
ボートのカットでは、黒い粒子が舞っています。薄暗い雲は人類の残渣でしょうか。

これが後半の話です。レビューみると、やはり戸惑ってる方が多くいますね。当然だと思いますが。ワタシの感想としては、話は嫌いじゃ無いけどちょっと唐突で、前半と比べると明らかに怖くはなかったのでもうひとつという所でしょーか。しかしやはり、このような挑戦を無碍にできないというのも事実です。
未体験の体験こそ、映画の醍醐味なのですから。