不在

吸血鬼の不在のレビュー・感想・評価

吸血鬼(1932年製作の映画)
4.4
『吸血鬼』というタイトルながら、昨今私たちが想像するようなベラ・ルゴシ的キャラクターは登場せず、あくまで人間と、それらに忍び寄る死のみを描いていく。
この作品においてドライヤーは、宗教的なイメージを意図的に隠しているように思える。
信仰を見つめ続けてきたドライヤーが、なぜここでは人々を見放すのだろうか。
恐怖のあまり、神を疑ったためか。
悪魔にすら頭を垂れる、人間の悪癖のためか。
あるいは冒頭で示される通り、すべては狂人の見たただの幻なのか…。
人間が真に救われるための、示すべき態度というものをどうしても考えてしまう。
不在

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