ねこ無双

吸血鬼のねこ無双のレビュー・感想・評価

吸血鬼(1932年製作の映画)
4.0
カール・テオドア・ドライヤー監督の初のサウンド映画。

クルタンピエールという村に辿り着いた青年。
彼が知り合う館の主とその二人の娘たちは正体不明の邪悪なものに脅かされていた。
主人から託されたパウル・ボナ著の書籍
「吸血鬼の不思議な話」から青年は、吸血鬼伝説とその村にまつわる不思議な話を知ることとなる。
モノクロ、幻想的な映像で綴られる吸血鬼を巡るスリラー。

青年はオカルト研究家(主に悪魔信仰や吸血鬼の迷信の研究)。
没頭するあまり彼は夢想家となり、現実と超自然の境界がなくなった。
そんな彼の体験は果たして夢なのか現実なのか。

モノクロの光と影の幻想的な映像が素晴らしい。
靄がかかった森は謎めいていて。
影だけが独り歩きし、やがて実体へ戻ってゆく。
離脱した自分が自分を俯瞰する。
などなど美しかったです。

ヴァンパイアはちゃんと出てきます。
ただ私の好きな耽美なタイプとはちょっと違ってはいるんですけどね!

以前、ファスビンダー監督の『ヴェロニカ・フォスのあこがれ』という映画を観たのですが、そのモデルとなった実在の女性ジビレ・シュミッツも出演しているそう。
おそらく二人の娘のうちの一人、青年が心惹かれる女性の方を演じられている方なのかな?と思ったんですが…。

1932年公開当時、検閲により削除された映像が無音状態ではあるけど特典映像に入ってました。
その場面は結末にかかるネタバレになるので伏せますが…このような場面が検閲対象になるんだなと興味深かったです。


🐾
TLゆっくり廻ります💦