たにたに

アパートの鍵貸しますのたにたにのレビュー・感想・評価

アパートの鍵貸します(1960年製作の映画)
3.7
【鰻登り昇進】2022年150本目

誰よりも残業をし、仕事熱心な主人公。
しかし、それには訳がある。上司の浮気場所として自宅のアパートの鍵を貸しているため、早々に帰ることができないのだ。
やっとのことで自宅のベッドに入るも、また上司から電話。嫌々ながらも、昇進の話を持ち出され、仕方なく家を後にする。

彼には想いを寄せるエレベーターガールがいる。しかし彼女もまた、上司の浮気相手で、自宅に出入りしていることが判明。

その判明の仕方も秀逸。部屋に忘れられた割れた手鏡を上司に届けたら、それを彼女が持っていたからである。
"割れた"手鏡ってのが、またいいですね。

今作では、鏡が巧みに使われている気がします。人間の心を表すものとしてメタ的に使用されている。

この他にも小道具の使い方と、それを操るジャックレモンのコメディアンさが映画を面白くしている。
タイプライターの押し方。
黒電話のダイヤル回しの速さ。
テニスラケットをパスタの湯切りに使う。
つまらないテレビのザッピング。
トランプの捌き方。


彼の人生は側から見ると幸せそうには見えないのだが、彼女のトラブルに立ち会う中で、彼は自分の人生を見つめ直すことになる。別のアパートで幸せになってほしい。
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